キャリアを会社任せにしない

こんにちは、ちょびです。

 

織田信長幸若舞の「敦盛」の一節、「人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻のごとくなり」を好んだといいます。

当時の平均寿命は分かりませんが、50年で人生を全うした、というイメージでしょうか。

変わって現在の日本では、平均寿命は80歳ぐらいです。しかし、政府がこんな推進室を作るぐらいですから、今後は人生100年時代に突入すると思います。

平成29年9月8日 人生100年時代構想推進室看板掛け及び訓示 | 平成29年 | 総理の一日 | 総理大臣 | 首相官邸ホームページ

 

その辺りについては、以前に書いたことがありますので、そちらもご覧ください。

100年人生をどう生きますか? - ちょびののぞき窓

 

さて、今回のタイトルは「キャリアを会社任せにしない」です。

経済産業省が「必要な人材像とキャリア構築支援に向けた検討WG」というのを立ち上げていますが、その中で委員の西村創一朗さんという方の資料の一部がちょっとおもしろかったのでご紹介します。

ちなみに資料はこちらから見ることができます。

必要な人材像とキャリア構築支援に向けた検討ワーキング・グループ(人材像ワーキング・グループ)(第1回)‐配布資料(METI/経済産業省)

 

この中で西村さんは、企業と従業員の関係を「御恩と奉公」ととらえています。まるで江戸時代のようですが、300年近く続いた江戸時代は、日本人のパーソナリティにも大きな影響を与えているのかもしれません。

さて、では企業が与える「御恩」とは、具体的には何でしょう? 資料の中では、終身雇用、年功賃金、解雇規制が挙げられています。逆に従業員が返す「奉公」は、長時間労働、単身赴任、副業禁止が挙げられています。

なるほど、バブル崩壊前であれば、これでGive&Takeの関係が成立していたのだと思います。ですが、今はせいぜい解雇規制が残るくらいで(これも怪しいところがありますが)、御恩は「今、雇用している」ぐらいでしょう。ところが、従業員からの奉公は今も変わらず求められます。この関係の変化を西村さんは「奉公」が「搾取」に変わった、と表現しています。

Give&Takeの関係が成立していたころは、一生同じ会社で働いて、給料も右肩上がりですから、キャリア形成も会社任せで問題ありませんでした。

しかし、今後人生が100年となると、一生同じ会社で働く可能性も低くなりますし、給与も思ったように上がらなくなるでしょう。すると、キャリアを会社任せにしては、いざというときに路頭に迷ってしまいます。

そのためにも今後はキャリアを自分で設計する必要が出てきます。具体的には、広く社会全般で利用可能なスキル(ユニバーサルスキル)の取得が重要だと思います。例えばコミュニケーションスキルやマネジメント、コーチング、ロジカルシンキングのスキルでしょうか。また、語学や会計、技術等の専門的なスキルも持ち運びが可能(ポータビリティ)という点では、ユニバーサルスキルと言えるかもしれません。

通常の会社では、スキル向上のためにOJT(On the Job Training)をよく利用します。このトレーニングで手に入るスキルは、ほとんどの場合、その会社に特化した知識や技術のため、広く社会全般で利用することは難しいと思います。ただ、会社としては、社員がユニバーサルスキルを手に入れるより、会社に特化したスキルを手に入れてくれた方が、短期的には会社の利益につながりますので、OJTを今後も積極的に活用すると思います。

社員の側としては、会社がトレーニングをしてくれないので、自分で実施するしかありません。そして、今後のために必要な知識、技術が得られるのなら、転職することも選択肢に入れて考える時代だと思います。その結果として、一時的に給与が下がっても、人生100年と考えれば、それは必要な投資なのではないでしょうか。

ただし、転職は目的とともに、時期も非常に大事です。今が動きべきタイミングかどうかもしっかり見極めて、現在の会社にとどまって力を蓄えることも選択の一つであることも覚えておくべきだと思います。

私は、現在の仕事に不満があり、将来的には転職したいと考えていますが、子供が小さいうちは福利厚生の整った現在の環境で仕事をするべきだと思っています。そして子供がある程度手を離れたとき、タイミング良く転職できるように、今はいろいろな勉強をしたいと思っています。

皆さんも、自身のキャリアを会社任せにせず、自分で設計することを強くお奨めします。