人工知能(AI)と仕事の未来

こんにちは、ちょびです。

 

最近、なかなか話題がなくて更新できていませんでした。

特に面白い話題ができたわけではないのですが、最近読んだ本が面白かったのでその話をしたいと思います。

その読んだ本というのは、「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの(松尾豊 著)」です。

人工知能(AI)の歴史、現在の状況、今後の展望が分かりやすく書かれていて、初心者が理解するのにとても良い本だと思いました。

その中で、「機械学習」と「ディープラーニング」が出てくるのですが、この辺りが私はずっと分からなくて、この本を読んでなんとなく理解することができるようになりました。

ディープラーニング機械学習の一形態なのですが、機械学習では「特徴量」を人間が指定し、これを基にAIが個別の問題の特徴量から、もっともそれらしい答えを導き出します。この特徴量というのは、一種の目印であり、例えばネコなら「目が二つ」とか、「ヒゲがある」とか、「耳が三角」とか、そういう外形的特徴です。今までの機械学習はこういう特徴量を人間が設定し、それを基にAIが判断してきました。そのため、どういった特徴量を設定するか、ある種職人技のような技能が必要でした。

これに対してディープラーニングでは、特徴量をAI自体が設定します。詳しい理論は私にも理解できていないのですが、どうも、情報を一旦圧縮して元に戻す、という行為が鍵のようです。情報を一旦圧縮すると、情報量が減ります。この圧縮時に、大事な情報が欠落してしまっては元に戻りません。そこで、大事な情報は温存して、元に戻す際にあまり重要でない情報を省略する必要があります。AIはこの作業を何度も行い、何が大事な情報なのかを学びます。この大事な情報が、今まで人間の設定していた特徴量にあたるようです。特徴量とはつまり、その情報の根幹をなすもの、いわゆる「概念」なのです。ディープラーニングはAIが自分でものの概念を獲得した、という点で極めて画期的な技術だったのです。

概念が理解できれば、手書きの字でも判読できるようになりますし、入室してきた人が誰かを判断することができます。

 

2016年6月、GoogleはAIが自力でネコを認識した、と発表しました。

ニュース - Google、大規模人工ニューロンネットワークを用いた研究成果を紹介:ITpro

このニュースをお聞きになった方と多いと思います。これはGoogleがAIにYoutubeの画像を見せ、その中でAIがネコの概念を獲得した、というニュースです。

ちなみにディープラーニングが世界的に有名になったのは、2012年のILSVRC(大規模画像認識競技会)で、ジェフリー・ヒントン率いるトロント大学のチームが、今まで26%程度だったエラー率を、一気に17%程度にして優勝した出来事でした。この時に使われた技術こそディープラーニングであり、ジェフリー・ヒントンは現在、トロント大学Googleの両方で働いています。

ディープラーニングはAIが自分でものの概念を獲得するという点で、画期的な技術ですが、これで全ての問題が解決するわけではありません。画像は概念として理解しやすいものです。子供も最初に獲得する概念は具体的な物です。これに対して、私たちの周りにある概念はもっと抽象的です。言葉の概念、行動の概念、思考の概念などは、そもそも特徴量を設定することが非常に難しいものです。そのため、そのような概念を理解し、人間のような知能を持ったAIが登場するのはかなり先だと思われます。

では、人間のような知能でなければ、AIは知的ではないでしょうか?AIはすでにいくつかの分野で人間よりも「知的」な存在です。盤上ゲームでは人間に勝つAIがすでに登場していますし、そもそも電卓は人間が計算するよりずっと正確です。こうした特定の分野に秀でたAI(電卓はAIとは呼びませんが)はすでに世界中に存在しています。こうしたAIが未来の仕事の形を変えることになるのでしょう。

具体的にはどんなことが起きるのでしょうか?まず、ルールベースといわれる手法があります。これは、「AならばB」「CならばD」というルールを人間が設定し、そのルールに合わせて機械に判断させる方法です。ルールが明確な場合、これで十分機能するため、定型的な業務は代替可能と考えられます。

ただ、ルールベースはルール自体を人間が設定するため、ルールが大量にあったり、ルール同士が矛盾したりするとうまく機能しません。これに対して機械学習は、特徴量は人間が設定しますが、それを元にルールをAIが設定するため、膨大な量のルールが存在する場合や、そもそも人間がルール自体を理解できていない場合にも利用可能です。ある一定の判断基準で、その都度対応する中間管理職的な業務なら代替可能かもしれません。

ディープラーニングは概念自体を理解していますので、ほぼ人間のような判断ができます。それを大量に、高速に行うのですから、普通の人間では太刀打ちできません。ただし、ディープラーニングは新しい概念を作り出すことはできませんので、そういった創造的な仕事では人間が行う余地があります。ただし、人間と同じように概念を理解できるのはまだまだ先のようですので、当分はこのような心配は必要ないと思います。

私たちの未来の仕事はどんなものでしょう。おそらく伝票を眺めながら入力し続ける仕事(データ入力作業)やレジ係(単純な接客業)は、減っていくのだと思います。また、専門知識が必要だが、一定のルールで行う仕事(銀行の融資担当やトレーダー)も絶対数は少なくなっていくでしょう。

逆に対人的な仕事やAIと協調して行う仕事は、今後ますます重要になっていくのだと思います。

皆さんの仕事にはどんな未来が待っているでしょう。